静かに、確かに。

日常の機微を綴ります。

9.7

季節外れの風鈴が
横殴りのにわか雨に晒され

心が沈殿した土砂降りの道中
もう驚かない 寧ろ安堵している
悲しくないなんて言わないが
踏ん切り付けるにはもう充分だ

なんて早とちる二十時前
遠退け過去 日照り雨が呼んでいる

9.6

荒れ高鳴るは 雷雨か心音か
清涼感と倦怠感とが拮抗
徒労に終わる無謀と心電図
歌い上げた天井 見送った天然水
言葉で言葉を隠すのはお手の物
蔑ろに扱うだけ上等
全く持って甲斐性無い
振ったつもりが振られていたのは

僕の方

9.5

月を見て思い返す想い出のひとつひとつ
詳かに摘み上げ その悦びに触れる度
重力に涙が惹きつけられる

叶わない夢だからこそ美しい
そんな事知りたくなかった

貴方は今 幸せですか
そうであって欲しいと 願って止まぬ月影の夜

9.4

夕立は情熱を洗い落とす
僕を成し得る為 君を成し得る為

そういえば いつかもこんな雨だった

そうして思い返せる日々は
何処か美しくて やるせなくて 霞んでしまって
雨空だけは味方だからって

雲霧のドッペルゲンガー 見紛う雨