2020-09-10 9.10 100文字日記 睡眠不足に目を擦る度私を覆う繭が転がり落ちて残った芯は小振りであったが存外 撓やかで強かであった そんなみみっちい豊かさを抱いて自己同一性と他者評価に板挟まれる そうここは東京 私など選んではくれない
2020-09-09 9.9 100文字日記 自律神経の調律不全平均律と純正律の狭間で規律が狂って 自我という膜が破けて秒速5センチメートルの速さで破綻する 浸した黒が漆黒では無い事がせめてもの救いで鯨雲にたらればを吐き散らかす時間は胃袋を締めていく
2020-09-08 9.8 100文字日記 強かと淑やかと蕭やかとを認めて首の皮一枚で繋がる自我が枝葉末節に千切れたりする 街が夕陽に沈む様とか遠く焦がれた誰かの笑顔とか 自己肯定感なんぞ疾うの昔に捨てた仮初の同一性に永遠の平和を求め今日も家を出る
2020-09-07 9.7 100文字日記 季節外れの風鈴が横殴りのにわか雨に晒され 心が沈殿した土砂降りの道中もう驚かない 寧ろ安堵している悲しくないなんて言わないが踏ん切り付けるにはもう充分だ なんて早とちる二十時前遠退け過去 日照り雨が呼んでいる
2020-09-06 9.6 100文字日記 荒れ高鳴るは 雷雨か心音か清涼感と倦怠感とが拮抗徒労に終わる無謀と心電図歌い上げた天井 見送った天然水言葉で言葉を隠すのはお手の物蔑ろに扱うだけ上等全く持って甲斐性無い振ったつもりが振られていたのは 僕の方
2020-09-05 9.5 100文字日記 月を見て思い返す想い出のひとつひとつ詳かに摘み上げ その悦びに触れる度重力に涙が惹きつけられる 叶わない夢だからこそ美しいそんな事知りたくなかった 貴方は今 幸せですかそうであって欲しいと 願って止まぬ月影の夜
2020-09-04 9.4 100文字日記 夕立は情熱を洗い落とす僕を成し得る為 君を成し得る為 そういえば いつかもこんな雨だった そうして思い返せる日々は何処か美しくて やるせなくて 霞んでしまって雨空だけは味方だからって 雲霧のドッペルゲンガー 見紛う雨