2.21
彼とお付き合いをする前、彼は自らをバイセクシュアルだと言い、子どもや家庭への憧れを口にしていた。
だから俺からの告白はしなかった。
それでも一緒にいたいと言ってくれた時は嬉しかった。
けど同時に、彼が素敵な女性と出会ったとしたら俺は身を引くべきだと、それがいつ起こっても構わないという覚悟をした。
彼の人柄や社会的な立ち位置、人付き合いの幅を考えれば、その時がいつ来ても不思議ではない。
小手先の器用さだけで生きてきた自分とは大違いなのだ。
今俺は彼の隣にいる。
その幸福は幾つもの可能性の天秤の上に置かれている。
先の事なんて分からない。
これを書いている今、それが不安なのかも分からない。
ただ言えることは、その時も変わらず梢が揺れただけの出来事であって、最後に笑っていられたらそれで良いんだ。