静かに、確かに。

日常の機微を綴ります。

北へ

北へ 北へ

 

踏み込むアクセルの加速

心の焦燥感との溝の深さ

 

北へ 北へ

 

浅い睡眠に眼精疲労

気休めの音楽で飲み干す水分

 

北へ 北へ

 

遠く離島の原風景

旋回する風車の羽 佇む原子力発電所

 

北へ 北へ

 

潮風が髪を掻き上げる

高波が岩肌を穿つ

 

北へ 北へ

 

自ら断ち切った退路

重ねた罪を轍にして

 

北へ 北へ

 

君がいたであろう街を尻目に差した晴れ間

僕は向かうその先へ

 

北へ 北へ

 

さようならはもう伝わらない

それなのにまだあなたに会いたい

 

北へ 北へ

 

ごめんねももう伝わらない

だからあなたの面影に会いに行く

2.21

彼とお付き合いをする前、彼は自らをバイセクシュアルだと言い、子どもや家庭への憧れを口にしていた。

だから俺からの告白はしなかった。

それでも一緒にいたいと言ってくれた時は嬉しかった。

けど同時に、彼が素敵な女性と出会ったとしたら俺は身を引くべきだと、それがいつ起こっても構わないという覚悟をした。

彼の人柄や社会的な立ち位置、人付き合いの幅を考えれば、その時がいつ来ても不思議ではない。

小手先の器用さだけで生きてきた自分とは大違いなのだ。

 

今俺は彼の隣にいる。

その幸福は幾つもの可能性の天秤の上に置かれている。

 

先の事なんて分からない。

これを書いている今、それが不安なのかも分からない。

ただ言えることは、その時も変わらず梢が揺れただけの出来事であって、最後に笑っていられたらそれで良いんだ。

珈琲は嘘をつく

 

朝露に溶ける 夕霧に香る

それを合図に鵯の群れが去っていく


想い出の中

貴方の声を飲み干しても

貴方の体温を飲み干しても


ただ苦いだけの生活の隙間

この胸焼けはさっき飲んだ珈琲のせいだ


冷めるまでの180秒間

紡いだ文章すらも滲んでしまって


滴る後悔の色とか

揺蕩う想い出の香りとか

僕は知らない 全部知らない

 

とうに冷め切って

美しいだけの思い出なんか

僕はいらない 全部いらない

2.15

3年前で更新の途絶えた自身のブログを立ち上げる

 

どうも黒歴史が詰まっていて嫌なものだが不思議と削除する気にはならない

 

それどころか、今もこうして新しく歴史を刻んでいるのだから手に負えない

 

自分の頭の中を整理するにはちょうど良い作業だし、現に僕は今病んでいるのだから、気にしなくて良い

 

多弁は災いのもと

詳細は伏せるが年明け早々、嫌な事ばかりだ

 

昔諦めたものが唐突に目の前に差し出される、なんて出来事がふたつ

 

一度諦めたものを今度は手に入れられるかというとそんなことはない

要は手放しの追体験

 

なかなかどうして思考の整理がついていないが

夢は夢であるからこそ美しいことを再認識した

 

こういう日は、優しい音楽を聴くに限る

そうこうしていると彼が帰ってくる

暖かい温もりにこの鬱屈を溶かしてしまおう

 

そうして明日もまた仕事

梢が揺れただけの些細なこと

またいつか笑い話にできる、その日まで

 

失墜

それは嘴

漆喰の如く黒い嘴


ある時僕は思った

何よりも気高いその誇りと

何よりも大切な貴方の存在と


その両方を失った僕に

いったい何が残るのか

 

 

それは嘴

鋒の如く鋭い嘴


ある時君は言った

何があっても貴方を信じている

何があっても味方でいる


その言葉を手放した僕に

まだ声を掛けてくれますか

 

 

それは嘴

虚空を切り裂くだけの嘴


梢が揺れて鈍い音がする頃には

上空をもげた羽が風に舞うでしょう


遠くから見ればその様すら美しいでしょう

貴方はそれすら知らないでしょう

2.13

梢が揺れた、それだけの事だ

 

2月上旬、空は曇っていた

河辺でキャッチボールをしている高校生くらいの男がふたり

その飛距離に呼応するように声を張っている

学校の事だろうか、部活動のことだろうか

土手を走る車の音に掻き消されて話の内容までは耳に届かない


それを遠くで眺めているのが僕だ

仕事の合間を縫って10、20分ほど落ち着いた河の流れを眺めるのが、月曜日の日課

要はサボっているというだけだが

 

社会人の10、20分が貴重なものだという叱責が頭の中で響く

逆に貴重だからこそこういう使い方をしているのだと顔を振った


世間の月曜日と僕の月曜日は少し認識が異なる

僕は不動産業界に勤めているから土日の山場を乗り切って、その間に溜まった訪問業務を熟す

言ってしまえば消化試合といったところだ


「ーあ」…梢が揺れる


キャッチボールをしていたふたりが慌てた様子で河の茂みに走っていく

どうやらボールを取り損ねたらしい


幸い河に流されるようなことはなかったようだが

戻ってきた彼らは投げる方向を河の流れに対して水平方向に移動して仕切り直した


ボールが革製のグローブにばしんと収まる音がして、

また声が張り上がる


そう、梢が揺れただけの些細なこと

気を留めるまでもなくて、違っていたと気が付いたのなら、自然と立ち直せばいい


「もうすぐ春か」

溜め息に似た独り言は誰の耳に留まるでもなく、僕の頭上を上滑った


エンジンを掛け、僕は仕事へと戻った

2020

2020年が終わろうとしているので最後のブログを。

 

 

今年の目標「利他行動」「メタ認知」「承認顕示」に関しては

振り返るとどれも不十分な感じがします。

 

勿論意識して行動していた場面は多々思い浮かぶけれど

それが自分自身に何か実を結んだかというと甚だ疑問が残る一年でした。

 

副業をして、転職活動をして、引越しをして、

自分に余裕のない一年だったと思います。

 

掲げていた目標が自分の生活に”ゆとり”があって

はじめて出来ることなのかもしれないと感じました。

 

ただこの一年走り抜けたおかげで

新しい生活環境は整ったようにも感じられます。

 

来年の目標に関しては、今年の目標が達成できていない以上、

今年の目標を踏襲するべきかもしれないけれど

芸がないようにも感じられます。

 

もう少し、シンプルに、自分を見つめ直したい、

そんな一年にしたい。

 

 

そういえば、周囲の人間は自分を映す鏡だと聴いたことがあります。

 

俺は昔から、小学校でのいじめや諍いの絶えない家庭環境の影響からか

無意識に他人を寄せ付けないようにしてしまう傾向があります。

 

最近ではそれを見せない術を身につけ、

意識的にそうならないようにしているし、

誰彼構わず距離を詰めるのはいかがなものかとは思うけれど、

「果たして俺は人を好きになっているのだろうか」と

考えることが多いのも事実です。

 

先に話したように、自身を見つめ直すには

他者を見つめ直すのが効率がいいように思うし、

過去の恋愛を払拭する意味でも

「人を好きになる」というのを目標に掲げるのはいい事かもしれない。

 

勿論恋愛だけでなく、家族愛や友愛そういった好意的な愛情のことを

ここでは「人を好きになる」としたい。

 

もう少し具体的に、「新しく4人好きな人を作る」としようか。

 

 

人間関係はそう容易に構築できるものではないと思うけれど、

ひと季節にひとり、人を好きになる、というのはどうだろう。

 

その為にはまず人に会う必要もあるし、

そもそもの自分を磨く必要もあるし、

いい目標なんじゃないかと思います。

 

 

来年の目標は

「新しく4人好きな人を作る」

 

 

これで行きます。

 

皆さんは今年はどんな一年を過ごしましたか?

来年はどんな一年を過ごしたいですか?

 

また来年お会いした時に聞かせてください。

 

 

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ついでに、先ほど「#2020年自分が選ぶ今年の10曲」をツイートしましたが

それぞれの曲の思いの丈を、こちらで纏めました。

 

  1. 夏を生きる

友人に教えてもらった曲。

緑黄色社会閃光ライオット時代に少し聴いた事があったのだが

最近ではアニメの主題歌や好きなアーティストのカバーなどもリリースしていて

「いつの間にか有名に…」と少し興奮したのを覚えている。

今年の夏、ドライブの時にずっと流していた。飽きるくらいに。

息苦しい一年の中で唯一爽やかな風を感じた瞬間だった。

ヨルシカの「風を食む」とどっちにしようかずっと悩んだけど、思い出補正。

 

  1. 19

最近YouTubeの広告で知ったアーティスト。

息遣いと疾走感が好きで、ランニングのお供としてずっと聴いていた。

曲は、大人になる直前の揺れ動く若者の”今”の心情を描いている。

自分にとって19歳は5年前にあたるので、どこか俯瞰して聴いている感覚もありつつ

でも未だに背伸びしがちなところとかあるよなあと歌詞を追いかけたりして

なんだかんだで印象に残っている曲。

今後が楽しみなアーティスト。布教の気持ちも込めて。

 

  1. Inner Lights

友人に教えてもらった曲。

The Beatlesを彷彿とさせるメロディラインと快適な疾走感、柔和な声質。

何回聴いても心地良い。

この曲を教えてくれた友人とはその後大変お世話になるのだが、

仲良くなるきっかけの曲になったと言っても過言ではないように思う。

その後、このアーティストと別のアーティストを紹介してもらい

沼にハマるのだが、それはまた後ほど。

 

  1. 夏のせい

元々RADWIMPSのゆったりとしたバラード曲が好きなのもあるが

一曲目と同様に、今年の夏を象徴とする曲と感じる。前者が”動”ならこっちは”静”かな。

いずれにせよ、コロナで身動きの取りにくかったこの一年を通して

一瞬規制の和らいだ夏の思い出が印象深い。

この一年、恋はしなかったけれど恋が恋しいっていう気持ちはあったりして

正直、恋愛面に関しては情けない一年だったなと振り返る次第。

 

  1. カナリヤ

お待ちかね、米津さん。一聴して好き、と感じた曲。

たまたまApple Music開いてたら見つけた曲だったけど、

こんなに聞き込むことになるとは思わなかった。

メロディも歌詞も勿論、それ以上に彼自身の声質とそれを最大限聴かせるテクニック。

捻くれ者なのでこんな良い曲”今”聴きたくなかった、と感じてしまったことは内緒。

米津さん、総じて好きだけど、曲単体で好きってなったのは

割と久方ぶりの感覚で印象深い。

 

  1. 四十路

今年の誕生日直前あたりから聴き始めたアーティスト。

弾き語りのピアノに乗せる凛とした芯のある声が印象深い。

この曲は歌声も歌詞も力強い覚悟を感じるので、

転職活動中の自身を鼓舞するつもりで聴き込んだ。

無事転職活動をやり切れたのはこの曲のおかげかもしれない。

四十路にはまだまだ遠いと思っていたが、思いの外一瞬かもしれない。

一日一日を噛み締めて、踏み締めて行かないとな。

 

  1. ひとりで生きていたならば

親友と再会した日に、親友が歌った曲。

今年一番のビッグニュース。

転職活動の疲れからか、音信不通の親友になんとなくメッセージを送った。

友人総出で探しても身元が分からなくて、最悪の事態も考えていた矢先に返事がきて

安堵感とか懐疑心とか苛立ちとか、色んな感情が押し寄せて号泣したのを覚えている。

再会した直後も号泣して、中学生の頃からお決まりのカラオケで

ひとしきり歌う中でも号泣して、その中で親友が歌った曲。

その後はいつもの「いいんですか」で締めたんだが、

”いつもの”が掛け替えのないものだと痛感した一日だった。

 

  1. 東京

疾走感のある失恋ソング。

最近友人がカラオケで歌って知った優里の「ドライフラワー」「かくれんぼ」

DISH// の「猫」あたりと迷ったが、今年聴き込んだ曲としてはこっち。

情けないことに、自分は昨年の失恋を未だに引きずっているらしい。

一緒に居た時間は幸せだったと肯定しつつ、別れた決断は間違っていなかったと

確信したい、なんてご都合主義者なんだか。

そんな自分の未熟さに響いた曲。来年は俺も前に進みたい。

 

  1. 生活の空

「Inner Lights」と一緒に教えてもらった曲。

掠れた声質に、エモーショナルなサウンド

今年、amazarashi以上に一番聴き込んだアーティストだと思う。

ある日の気持ちの落ち込んだ帰り道、少し夜風を浴びたいそんな気分のところ

例の友人から紹介された曲。

音楽も恋愛もタイミングだなと思う。青天の霹靂のように身に染みた。

その後、このアーティストを生で聴く為につくばまで行くことになる。

ライブで弾き語りもバンド演奏も聴くことが出来たのは幸運の限りだった。

大切なものを失った代償なのかもな、なんて思い返された。

 

  1. そういう人になりたいぜ

今年の頭にリリースされたフルアルバムのトリを飾る楽曲。

優しいメロディーラインに、シンプルな歌詞。

amazarashiは棘のある曲がキャッチーで有名だけど、個人的には

そんな彼らが作り上げる優しい歌がこの上なく好きだし、

amazarashiの良さが出ているんじゃないかと思う。

この曲に関してはあまり掘り下げると無粋に感じられるので、これくらいに。