静かに、確かに。

日常の機微を綴ります。

珈琲は嘘をつく

 

朝露に溶ける 夕霧に香る

それを合図に鵯の群れが去っていく


想い出の中

貴方の声を飲み干しても

貴方の体温を飲み干しても


ただ苦いだけの生活の隙間

この胸焼けはさっき飲んだ珈琲のせいだ


冷めるまでの180秒間

紡いだ文章すらも滲んでしまって


滴る後悔の色とか

揺蕩う想い出の香りとか

僕は知らない 全部知らない

 

とうに冷め切って

美しいだけの思い出なんか

僕はいらない 全部いらない