静かに、確かに。

日常の機微を綴ります。

失墜

それは嘴

漆喰の如く黒い嘴


ある時僕は思った

何よりも気高いその誇りと

何よりも大切な貴方の存在と


その両方を失った僕に

いったい何が残るのか

 

 

それは嘴

鋒の如く鋭い嘴


ある時君は言った

何があっても貴方を信じている

何があっても味方でいる


その言葉を手放した僕に

まだ声を掛けてくれますか

 

 

それは嘴

虚空を切り裂くだけの嘴


梢が揺れて鈍い音がする頃には

上空をもげた羽が風に舞うでしょう


遠くから見ればその様すら美しいでしょう

貴方はそれすら知らないでしょう