2023-02-14 失墜 詩 それは嘴 漆喰の如く黒い嘴 ある時僕は思った 何よりも気高いその誇りと 何よりも大切な貴方の存在と その両方を失った僕に いったい何が残るのか それは嘴 鋒の如く鋭い嘴 ある時君は言った 何があっても貴方を信じている 何があっても味方でいる その言葉を手放した僕に まだ声を掛けてくれますか それは嘴 虚空を切り裂くだけの嘴 梢が揺れて鈍い音がする頃には 上空をもげた羽が風に舞うでしょう 遠くから見ればその様すら美しいでしょう 貴方はそれすら知らないでしょう