静かに、確かに。

日常の機微を綴ります。

3.11

 

今年もこの日が来ました。

 

自分は当時中学2年生でした。

 

身体的にも精神的にも幼い時分ではあったけれど、この日の事は明確に覚えています。

 

 

何をするにも、話すにも、不謹慎ではないか、誰かを傷つけていないか、

 

常に気を張っていた事、

 

学校や地域総出で何か支援できることはないかと

 

日々画策していた事、

 

それが年を重ねるごとに形骸化していかないか

 

やはり心配していた事。

 

 

毎年毎年、妙な気分になるし、でも何か想いを馳せなければと

 

考えてしまう、心許ない日です。

 

 

俺は優しい人でも綺麗な人でもないので、

 

これに関して言える事はあまりないのですが、

 

癒える事のない傷を抱え今も闘う人々や戻る事のない全てに、

 

せめて手を合わせようと思います。

 

 

今年もRADWIMPSはこの日に合わせて曲を作ったみたいなので

 

お時間ある方はぜひ聴いてみてください。

 


世界の果て RADWIMPS

 

 

さて、長々としんみりしているのも野暮かもしれないので、

 

本日のテーマに移りますね。

 

 

予想できている方が大半だとは存じますが、

 

今回は「amazarashiの新作レビュー」です。

 

興味のある方はよければ読んでいってください。

 

 

本日はamazarashiの新譜がリリースされた日でもあります。

 

「ボイコット」と題された今作は

 

amazarashiの中心人物である秋田ひろむの

 

”僕は(僕を苦しめるものを)拒絶する”という意思表明であり、

 

同時に”あなたを苦しめるものを拒絶しませんか”という呼び掛けがテーマとなっています。

 

www.amazarashi.com

 

先に収録されているトラックを提示します。

 

amazarashi 5thフルアルバム「ボイコット」

 

1.拒否オロジー

2.とどめを刺して

3.夕立旅立ち

4.帰ってこいよ

5.さよならごっこ

6.月曜日

7.アルカホール

8.マスクチルドレン

9.抒情死

10.死んでるみたいに眠ってる

11.リビングデッド

12.独白

13.未来になれなかったあの夜に(long edit)

14.そういう人になりたいぜ

 

※限定盤のAcoustic楽曲や映像特典に関しては記載を省きます。

 

 

ざっくりと全体像だけ先に纏めます。

 

前半:

 

最初の2曲であるポエトリーリーディング「拒否オロジー」とアップテンポな「とどめを刺して」でアルバムのテーマを明確に提示。

 

特に「とどめを刺して」は今作のリード曲的立ち位置で発売に合わせてMVも公開。

 

前中盤:

 

「夕立旅立ち」「帰ってこいよ」で人々の別れを鮮やかに描き、「さよならごっこ」で決別。

 

「月曜日」は前3曲を振り返る形で思い出に浸り、感傷を呼ぶ。

 

ちなみに「さよならごっこ」「月曜日」はそれぞれ漫画やアニメとのコラボ楽曲。

 

後中盤:

 

「アルカホール」〜「死んでるみたいに眠ってる」はヘヴィな楽曲が続く。

 

今回のテーマの真髄に近く、難しい題材が多いが、人間社会や人間関係における

 

”当たり前”の中に隠れる鬱屈に対する拒絶が赤裸々と歌われる。

 

また、amazarashiの表現としては挑戦的な楽曲も散りばめられており、

 

少し耳慣れが必要な楽曲が多い印象でもある。(聞き込むと味が出てくるタイプかも)

 

後半:

 

前シングルの表題曲である「リビングデッド」。

 

同作品でノイズによって検閲されていたが、今作では全貌が明らかとなる「独白」。

 

前ツアー「未来になれなかった全ての夜に」のタイトルを冠し、

 

テーマソングとなった「未来になれなかったあの夜に」。

 

(「未来になれなかったあの夜に」に関しては以前このブログで紹介しました)

roxy-103.hatenablog.com

 

昨今のamazarashiの表現の進化を目覚しく見せつけた楽曲群が並び、

 

最後には優しいメロディに等身大の秋田ひろむが描いたであろうラブソング

 

「そういう人になりたいぜ」。

 

 

今作は曲数がなかなか多く、実のところ、

 

実際に聴くまで全体の纏まりや方向性など気にかけていたんですが、

 

やはりそんな心配は不要でした。

 

 

前作の「地方都市のメメント・モリ」ほど万人受けする作品ではないとは思うけど、

 

彼らの新しいチャレンジと世界観の深みを味わい、聴き込んで楽しむには、

 

前作を十分上回るほど進化したクオリティと内容だと実感しています。

 

 

ひとつひとつの楽曲を丁寧に解説していきたいところだけれど、

 

まだ聴き込みが足りず解釈が中途半端な楽曲があるのと、何よりも文字数が心配なので

 

3曲だけ今作の中から俺が好きな楽曲をピックアップして終わりたいと思います。

 

 

まずは「夕立旅立ち」について。

 

この楽曲が初披露されたのは2年と数ヶ月前の2017年12月。

 

秋田ひろむによる弾き語りワンマンライブ「理論武装解除」で2日間だけ演奏されました。

 

当時は秋田さんのアコギと豊川さんのピアノだけのアレンジで、

 

翌年2018年6月にライブ音源としてリリースはされましたが、

 

今作でようやく、晴れてバンドサウンドとして公式にリリースされることになった楽曲です。

 

秋田ひろむ曰く、5年ほど前にできた楽曲らしく、

 

軽快な曲調にシンプルな歌詞運びで本人も気に入っている曲ではあったけれど、

 

改めてamazarashiでリリースするほどの歌詞でもないと思ってリリースしてこなかったそう。

 

しかしライブ以降、「改めてリリースしてほしい」というamazarashiファンの声は

 

しばしばTL上で見かけてはいたし、

 

(俺自身もそんな投稿をした一人ではあるのだが)

 

秋田本人も、やはり好きな楽曲で、やっといい曲だと自覚ができた為、

 

今回のアルバムに収録するに至ったそうです。

 

個人的にライブで聴いた韻を踏んだサビのノスタルジックな歌詞がずっと印象に残っていて、

 

アレンジされた今作はその印象を壊すことなく、むしろ一層、

 

楽曲の軽やかな雰囲気を際立たせていて、更にお気に入りの楽曲になりました。

 

アルバムの中では、テーマ提示の後の私的な方向に潜っていく役割を持っています。

 

amazarashiの楽曲の中では群を抜いて聴きやすいと思うので、ぜひ聴いてみてください。

 

 

続けて「帰ってこいよ」について。

 

この楽曲の初出は有料ファンサイトに歌詞のみ公開された2015年7月の事なので、

 

こちらもやはり5年ほど前の楽曲になります。

 

リリース前のラジオで限定公開された時から好きな楽曲だと確信していたけれど、

 

改めて聴いてみても、いい曲だなあ、と思わされました。

 

俺自身が田舎者なので、田舎の情景やそこに生きる人々の感傷を描いた作品は

 

没入しやすいのもあるんですが、

 

情景を描く歌詞運び、彼なりの懐の広さ、力強い歌唱、楽器隊の感情的な演奏、

 

それぞれに耳が惹かれるし、それぞれがそれぞれを引き立たせているような、

 

そんな楽曲です。

 

アルバムの中では先述の「夕立旅立ち」との対比が美しいので、

 

こちらも是非聴いてみてほしい一曲です。

 

 

最後「そういう人になりたいぜ」について。

 

アルバムのトリを飾る楽曲です。

 

今作で一番、繊細で優しい楽曲です。

 

イントロのメロディラインを聴くだけで、この楽曲の持つ雰囲気に心が奪われます。

 

今作のアルバム楽曲の多くが、鬱屈とした拒絶という感情に対し、

 

理論武装を纏った歌詞が外向きの力強い歌唱に乗せられて歌われるので

 

一聴して圧倒されるものばかりなのに対して、

 

この楽曲は秋田ひろむの等身大の言葉たちが内に向かって、

 

どこか不器用に、でもとても繊細に描かれているからこそ、

 

この楽曲が持つ優しさが引き立ちます。

 

個人的な感想にはなるんですが、

 

これまで彼の歌うラブソングには直接的な表現が少ない為に、

 

「そういう君が好きだから そういう人になりたいぜ」と

 

真っ直ぐに歌われる歌詞のギャップにやられました。

 

(これがギャップ萌えってやつか、なるほどな)

 

この楽曲はぜひ全体通して聴いてみてほしいんですが、

 

単体でもその優しさは十分に伝わるはずです。

 

こちらもぜひ、聴いてみてください。

 

※先ほどAcoustic Ver.の映像が公開されたので貼っときます。


amazarashi 「そういう人になりたいぜ」 Acoustic

 

 

 

そんなこんなでだいぶ文字数がやばいので、ここらで終いにします。

 

もし今作の楽曲、聴いてみた方いらっしゃったら、後でこっそり俺に教えてください。

 

 

改めて、最後まで読んでくれて、ありがとう。

 

ちょっと手が疲れちまったぜ。