静かに、確かに。

日常の機微を綴ります。

2020-01-01から1年間の記事一覧

8.20

僕が笑ったら君が笑った鏡に映るかの様に僕の目に映った 差し押さえの水道ガス電気 通信制限峠を越えた見様見真似の憂さ晴らし ‪‬生きにくいと声を漏らしてしかし僕等は笑い合える 人一人救えるだけで僕等は肯定される

8.19

青空の下 自転車で一本道を滑走するいずれ終わりが来る一本道を滑走する 白シャツは汗に透けてその体躯は加速度を内包して滑走と言うより滑落しているのか 要らない 要らない こんな希望なら車輪の轍は自己矛盾を両断する

8.18

僕等が青春と呼ぶそれを下劣だと蔑むあんたが嫌いだった アンタレスの星が瞬いて 見上げる夜空血走る目のあんたも同じだったのかな 世界から爪弾きにされた僕等と刃物を向けるあんたの若い頃の姿が重なって 思考が上滑る

8.17

別離の日から僕は珈琲を 君は煙草を新しい相棒にして 何処か擽ったい心持ちでよく知るはずの互いを知っていく再会の日 涙が地面に落ちるのはそれなりの重さがあるから そうして湿気った互いを僕等は今日も相棒と呼び合う

8.16

日に焼けた少年は小さな部屋で窓を開けて夜空を見上げる茅野市の風は雑木林を駆け抜けて鈴蛙の鳴き声を運ぶ 母の笑顔は正夢 君の笑顔は戒め穏やかな蝉時雨 佇む諏訪の湖面 祭りの後の静けさたるや星の瞬きの恋しさたるや

8.15

中止の花火大会 去年は君と行ったあれが僕等の最後の旅 家族の事 転勤の事理性的には的を射た判断だった 筈だった頭に来るぜ 反吐が出るぜ身勝手な自分に辟易する 蔑んでも後悔は消えない‪せめて遠退く花火に手を振るだけ

郷夢

故郷から 続く道片道 行ったきりこれが 旅ならまだ 中間地点 そうこれは 小休止 僕の 人生において家族との 関係において今だけは 忘れさせておくれ そう懇願していても 貴方達の姿は執拗に寝息を立てた目蓋の裏に 張り付いて離れない 「あなたは私だけの宝…

8.14

誰にも触れて欲しくない胸の内誰でもない人なら触れさせられるでしょうか 忘れられてしまう事の寂しさと安堵と押し黙って握り締める処方箋 自惚れに喝采 野次馬は潮騒夕立にも 花火にも 君の面影を見る内はその時ではない

8.13

人いきれに鈴虫は八つ鳴く相反する正論が ぶつかっては砕ける 皆まで言うまでも無い 曇天を打ち破る怒号を暗澹たる行き先に一条の光を 時間が止まる 糞ったれた世界のど真ん中八つ裂きにされて 震える君の心のままを 吠えろ

8.12

‪君は盲目だ花が花であれるのはひと季節の間だけ湖畔の木漏れ日 日傘を畳んで腰掛けて 日焼け 黄昏れ 尻取り合戦知って取るのは朝ぼらけ 僕なんかと罵ったとき遠く雷鳴が高鳴った それは僕の鼓動だった盲目なのは僕の方だ

泣きたい私は猫を被る

煌びやかな花火と裏腹に盲目な猫は屋根を渡り‬積乱雲に泣き寝入り‬ ‪摺り寄る想いは‪しめやかで‬‪しとやかで‬ ‪終わらせないで‬そのたった一言が言えないまま‬‪僕は今年も夏惜しむ‬ ----- 久々に日記でも書こうかなと。 最近はNetflixやらApple Musicやらに…

8.11

模倣と模倣の掛け算から他に類を見ない結合が発現し世間に認知され 初めて個性足り得る 身から出た錆の成れの果てこそ個性だ人々は知る由も無くフィットニアの葉脈をなぞるばかり だがそれこそ個性が生まれる瞬間なのだ

8.10

音を立てて骨と骨が軋み絡む体温 崩れた前髪思惑の巧妙 魅惑の軽妙 吉祥寺の情事 一存的な見せ掛け逆らう浮力は僕の不慮を浮き彫りにする 僕だけでしょうか並べる肩が歪だと思うのは 自ずと分かる 宵の口 鳥の口端 言葉の端々

8.9

漣 葉擦れ 宛らそれはこの星の呼吸のようでともすれば吹き抜ける風は血潮だろうかそれに僕は両手両腕を広げている 暑さに溶ける誘蛾灯対価を体温で精算する頃には湿気った後悔は灼熱の海に投げ捨てた 東京湾は今日も曇り

8.8

少年は背にナイフを忍ばせる彼を満たせるものなどこの世に非らずと言いたげな表情で見え隠れする反社会性 追い求める理想と立ち開かる真実とその補集合としての虚無とが板挟むのは彼の欲情であり過去の僕自身であった

8.7

寝息転がし 文字捏ねくり回し踏むだけ踏み潰した音韻 見たくない 見たくなんかない月が丸いのも 母の目尻も 君が笑うのも同じ轍を踏みそうだ 引き返せ衝動に腕が捥げ バランスを失い 倒れ込む ここはベッドの上 あれは夏の悪夢

8.6

夏が嫌いと呟いて嫌いな夏ばかりを詩にして遠回しな想いの丈を持て余して 私が言葉を語る程にその本質は捉えどころを失う私が夏を嫌う最たる所以 陽だまりの中 朗らかとして 夕涼みそうして私は筆を走らせる夏を走らせる

8.5

口呼吸に吹き出す汗 上下する肩幅並走するギンヤンマと恋ヶ窪閻魔堂霊園 西国分寺駅はやけに白けてきまり悪い僕は汗拭うや否や自販機のイオンウォーターに縋りつく こんな事ならと嘯く僕を可笑しいと君と夏が笑ったなら

8.4

久しい友に 優しい貴方に 知らない未来に 期待意気込み 雨脚早まり じりじり日捲り柵み泥濘み 足に絡まり 未定未定 この生涯その所在行き当たりばったり 泣き笑い雨空に 祈り誓い幸先この日に 種明かし 全てお芝居 これにてお終い

8.3

向かい風に髪が靡いたまるで透明な馬が空を駆けるよう 僕はと言えば大凡その馬の蹄が抉る土の如く生活に追われ不釣り合いを自覚しながら炎天下の陽炎として遠く待ち焦がれ その刹那を肯定する為だけに今日も生きるのだ

8.2

梅雨明けの入道雲と遠くに霞む雨柱膨れた向日葵の蕾と風に揺れる夏草 時間の流れの中 現実から乖離してもはや概念だけになってしまった過去の君を僕はずっと愛している 臨海公園に見た君の笑顔はもうここにはいないのだ

8.1

今日も僕は僕を殺す‬そうやって生き延びている‬ この心は どこまでが本心でどこまでが意地で どこまでが妥協で 自分自身の思考すら曖昧として 夜も眠れず勲章として残ったのは 眼の下の黒い三日月 僕はそれを ただ盗みたい

バイアス

悠然として空は静謐を湛え騒然として人々は情動に焦がれ 我ら右往左往と路頭を迷い辛くも一上一下を熟し 大義と遊戯とを取り違えては入道雲の真下で燥ぐ子どもの聲 辟易としたルサンチマン湿気った熱意はアルコールに溶け 相違点は唯一つ分解できるかできな…

7.31

その日暮らしと日暮れのヒグラシ日雇いに紛れる人間紛い 病院に行くべきだだが病院へ行く自体が億劫で子どもが好きだだが子どもを見ると心に翳りを孕む 薬の切れた人間の皮を被ったジレンマ飼い慣らす日々さえ紛いもの

7.30

満ち引きが美しいのは砂浜に打ち付ける波間だけこの感情の起伏は実に煩わしい 空きっ腹に珈琲を注ぐこの吐き気が自己嫌悪に由来する事は僕にだって容易に想像出来る そうだ 換気をしよう開け放った窓 梅雨明けの風が吹く

7.29

祖母は言う その子は変だと母は感情的に反論した 身に覚えがある僕は必死に感情を拵えた全部芝居だ 身振り手振りもこの笑顔も 流る人混みを見送る手放し切れなかった張りぼての感情無害を装う仮面の下 行き先無い刃が潜む

7.28

腕時計は景色を刻む海を抜け 森を抜け 花火の下手を引く君の後ろ髪を見送った あれから僕の心はずっと雨模様 ネクタイで心を引き締める別離は僕の後悔ではない君の笑顔を見られない事を悔いている 東京駅は僕の心を濡らす

7.27

グラスの縁の艶をなぞって薄蒼色の色彩の中 朝惑う憂いは精々一条 僕には過剰 シーツに微か残る体温を惜しみながら注いだ水出しの珈琲 飲み干す愛別離苦 朝霞を払い除ける苦味 冷感に吹き出す結露それが滴るまで僅か秒読み

7.26

僕等は世界をありのままに知覚できない各器官に映り響いた虚像を覗き見するに過ぎない それに抱く感情それに付随する知見それまでの人生で培った経験則 納得出来るか出来ないかそれは僕等の得て来た価値観の答え合わせ

7.25

得る物と失う物 出会う事と別れる事それは片腕で存在する事は無く天秤に掛けられるものでも無くただ不躾に 強引に 押し付けられてしまう それを美しいと君が言う理不尽に価値を見出す事の愚かさをしかして 僕は羨んだのだ